四肺類(しはいるい、Tetrapulmonata)は、鋏角亜門クモガタ綱に属する節足動物の分類群。現生群はクモ・ウデムシ・サソリモドキ・ヤイトムシから構成され、絶滅群はコスリイムシとUraraneidaがある。2対の書肺と牙のような鋏角を特徴とする。
概要
名称の示す通り、2対の書肺をもつことを共有派生形質とし、それぞれ後体の第2と第3節の蓋板によって覆われる(ヤイトムシと多くのクモでは第2対が二次的退化)。他にも牙を思わせる折りたたみナイフ型(鎌状、亜鋏状)の鋏角・三角形配置の3つのレンズをもつ側眼(多くのクモで二次的変形)・幅広い生殖口蓋・脚の基節と転節の構造・膝節から伸びる蹠節の下引筋(ウデムシでは退化)・精子の鞭毛の微小管構造など、少なからぬ共有形質が挙げられる。
四肺類に属するクモガタ類は、クモとUraraneidaからなるSerikodiastidaと、脚鬚類(ウデムシ・サソリモドキ・ヤイトムシ)とコスリイムシからなるSchizotarsataの2群で大別できる。前者は鋏角の牙状節に毛束を欠き、後体の第4と第5節に出糸器官を持つ。後者は第2-4脚の跗節が3節に細分される。
クモとウデムシを姉妹群とし、Labellataを構成する異説もあるが、前述の系統関係の方が形態学と分子系統学の両方に広く認められる。
議論的なクモガタ類の内部系統の中でも、四肺類の単系統性と内部構成は昔今を通じて特に統一した見解が挙げられており、上述の多くの形態学的類似点だけでなく、分子系統学の見解からも強く支持される。また、この分類群とサソリの類縁関係(蛛肺類 Arachnopulmonata を構成する)も分子系統解析に有力視される。化石クモガタ類の中で、ワレイタムシ(Trigonotarbida)は四肺類に近縁と考えられ、古くは四肺類に含まれたが、2007年以降では四肺類を姉妹群とし、共にPantetrapulmonataを構成するようになった。
学名の変更
旧称として書肺類 Plumonata がある。軟体動物の腹足綱(ナメクジ・カタツムリなどの巻貝)に同様の学名の分類群(有肺類 Plumonata)があることから、異物同名となり、Tetrapulmonata(四肺類)に置き換えられた。
脚注
関連項目
- クモガタ類
- 蛛肺類
- ワレイタムシ(Trigonotarbida)
- 脚鬚類
- 蛛肺類



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